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健康運動指導士とは? 気になる受験資格から取得するメリットまで詳しく解説します!

皆さんは、「健康運動指導士」という資格をご存知でしょうか? あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、その名の通り、人々の健康維持や改善を目的とした、適切な運動プログラムを作成・指導を担う民間資格になります。今回の記事では、そんな健康運動指導士について、詳しく解説していきます。

健康運動指導士の歴史について

健康運動指導士の養成及び資格認定などを行っている、厚生労働省所管の財団法人健康・体力づくり事業財団によると、健康運動指導士とは「個々人の心身の状態に応じた、安全で効果的な運動を実施するための運動プログラムの作成及び指導を行う者」とされています。
また、健康運動指導士の沿革は以下のようになっております。
・この健康運動指導士の養成事業は、昭和63年から厚生大臣の認定事業として、生涯を通じた国民の健康づくりに寄与する目的で創設され、生活習慣病を予防し、健康水準を保持・増進する観点から大きく貢献してまいりました。平成18年度からは、公益財団法人健康・体力づくり事業財団独自の事業として継続して実施しております。

※引用:公益財団法人健康・体力づくり事業財団ホームページより

健康運動指導士の資格を取得するには?

健康運動指導士になるためには、まずは「健康運動指導士養成講習会」を受講するか「健康運動指導士養成校」の養成講座を修了する必要があります。その後、健康運動指導士認定試験に合格した上で、健康運動指導士台帳に登録する流れとなります。また、他の民間資格と同様に、5年ごとに更新が必要となります。
それぞれのルートの特徴については、以下の説明をご参照ください。

「健康運動指導士養成講習会」を受講する場合

健康運動指導士養成講習会には、下記のような受講資格が必須となります。また、資格取得を目指している人がどの受講資格に当てはまるかによって、必要な単位数が異なりますので、合わせてご確認ください。

健康運動指導士養成講習会の主な受講資格
・保健師又は管理栄養士の資格を有している者
・4年制体育系大学(教育学部体育系学科を含む)の卒業者(卒業見込者を含む)
・歯科医師、看護師、准看護師、助産師、薬剤師、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師いずれかの資格を有している者であって、大学(修業年数4年以上)卒業者
・健康運動実践指導者の称号を有する者
健康運動指導士養成講習会の内容
講座内容 ・栄養学
・バイオメカニクス
・トレーニング
・運動生理学
・糖尿病
実習内容 ・ウォーキング
・エアロビクスダンス
・水泳
・フィットネス
・運動プログラム作成
学歴・保有資格別の必要単位数
104単位型 歯科医師、正看護師、准看護師、助産師、薬剤師、栄養士、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、きゅう師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師の資格を持ち、かつ4年制大学卒業者
70単位型 保健師、管理栄養士の資格を持つ者
51単位型 4年制体育系大学の卒業者(卒業見込みも含む)
40単位型 健康運動実践指導者の資格を持つ者、または日本体育協会認定スポーツプログラマー、アスレティックトレーナー、フィットネストレーナーのいずれかの資格を持つ者

健康運動指導士養成校で学ぶ場合

上述したような保有資格がなくても、もう一つの手段として、健康運動指導士の養成校に通い、受験資格を取得する方法があります。体育大学だけでなく、一般的な4年制の大学の体育系学部・学科、中には栄養士・管理栄養士の養成施設で健康運動指導士の受験資格を得ることができる場合もありますので、それぞれの希望に見合った養成校を探すようにしましょう。
健康運動指導士養成校一覧は、下記URLをご参照ください。

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団 健康運動指導士養成校一覧 http://www.health-net.or.jp/shikaku/shidoushi/youseikou.html

健康運動指導士認定試験の合格率は?

健康運動指導士認定試験は、毎年前期(3月)と後期(8月または9月)で2回実施されています。平成31年3月21日に実施された第141回健康運動指導士認定試験結果の概要は、以下のようになっています。

・受験者数……640人(再受験者157名)
・合格者数……462人(再受験者73名)
・合格率……72.2%(再受験者46.5%)

※参考:公益財団法人健康・体力づくり事業財団ホームページより

健康運動指導士と健康運動実践指導者の違いとは?

健康運動指導士の類似資格として、健康運動実践指導者という資格があります。健康促進のための運動指導という点においては同じですが、担う役割に若干の違いあります。
・健康運動指導士……運動カリキュラムの作成から実践指導までを総合的に担当
・健康運動実践指導者……運動プログラムにもとづいて運動指導を実践

健康運動指導士の仕事内容について

健康運動指導士は、保健医療関係者と連携を取りつつ、対象となる方の心身の状態に応じて、運動プログラム作成及び実践指導計画の調整等を行います。具体的には、生活習慣病や肥満などの予防を目的とした運動指導であったり、年齢問わず運動・食育の指導などを実施します。生活習慣病予防や介護予防といった問題が表面化している現代において、運動という観点から、そのような問題解決の一端を担うスペシャリストとして、健康運動指導士の資格は注目を浴びています。

健康運動指導士が活躍できる場所は?

公益財団法人健康・体力づくり事業財団の発表によると、平成30年12月1日現在、財団に登録されている健康運動指導士の数は、全国で18,224人(男性6,636人、女性11,588人)となっています。
主な就業先は、以下のようになっています。

・アスレチッククラブ/フィットネスクラブ等……4,182人
・診療所・病院等……2,941人
・保健所等……1,463人
・介護老人保健・福祉施設等……1,188人
・学校……1,108人
・フリーで活動等……2,208人
・その他(学生を含む)……4,800人

近年は、高齢化社会という時代が影響しているのか、病院、老人福祉施設、介護保険施設や介護予防事業等で活躍している方の増加が目立っているようです。

健康運動指導士の資格取得後のメリットは?

上述しましたように、健康運動指導士の役割は広がってきており、特に介護施設における需要は高まってきているようです。栄養士や管理栄養士といった資格との相性も良く、運動指導から栄養面まで管理が可能になる、健康のスペシャリストとして活躍することが可能となります。また、理学・作業療法士などのリハビリ職の方が健康運動指導士の資格を取得することで、働く場所の拡大や自身の価値を高めることにも繋がるでしょう。

まとめ
高齢化社会が進む現代日本において、高齢者の方々の健康を維持することは喫緊の課題だと言えます。運動を通じて健康を維持・促進するための知識や技術を持った健康運動指導士という職業は、今後更に注目される専門職となっていくでしょう。