作業療法士、と言われて皆さんはどのようなイメージを持たれているでしょうか。聞いた事くらいはあるけど、理学療法士との違いが分からない、といった人も多いかもしれませんね。
今回は、そんな作業療法士について詳しく解説していきます。これから作業療法士を目指している、もしくは何となく興味がある方にも必見の内容となっておりますので、是非ご覧ください!
作業療法士は、厚生労働省が「理学療法士及び作業療法士法」に基づいて試験を実施する、国家資格となります。その成り立ちや仕事内容はどのようなものになるのでしょうか。詳しく解説していきます。
「作業療法」の起源は、古代エジプトやギリシャにまで遡ることができます。実際に医学における手段として用いられるようになったのは、18世紀の終わりから19世紀にかけてのことで、フランスの精神科医フィリップ・ピネルが行った「道徳療法」が源流と言われております。
日本においては、1965年(昭和40年)の6月に、「理学療法士及び作業療法士法」が成立し、翌年の1966年(昭和41年)には第一回理学療法士・作業療法士国家試験が実施されております。そして同年9月に、「日本作業療法士協会」が発足しました。
参考:50年の歴史 | 日本作業療法士協会50周年記念サイトより
作業療法士は、Occupational Therapist(OT)とも呼ばれ、先天的あるいは後天的な理由で身体に障害のある方、もしくは精神的な問題を抱える方に対して、“作業活動”を通じて日常生活を快適に過ごせるようにサポートしていくことが主な仕事となります。
重要なのは、この“作業”という面です。ここでいう作業とは、日常生活における営み全般を指しています。家事や入浴であったり、着替えに買い物、地域活動から余暇活動に至るまで、あらゆる動作を含めたものを、“作業”としているのです。理学療法士が、歩行や座る・起きるなどといった基本的な動作の能力を維持、改善していくことに対して、作業療法士は日常の諸活動の為の“応用動作”などの維持、改善を促し、かつ精神面でもサポートしていくことが特徴と言えます。
作業療法士の資格を取得することで、受けられるメリットは多くあります。いくつかの例を挙げてみましたので、参考にしてみて下さい。
①社会的信頼度が高い! |
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作業療法士は国家資格であり、その専門性の高さで、医療や介護における重要な職業となり、社会的な信頼度が非常に高いと言えます。患者さんのみならず、医師や看護師、介護士からも信頼を得ているのです。 |
②幅広い分野の就職先がある! |
作業療法士の主な職場は病院、というイメージがありますが、福祉施設や介護現場、または特別支援学校など多くの場所で活躍が期待できます。対象となる方々の年齢層も老若男女問わないので、児童福祉施設から介護老人保健施設、大学の研究機関なども就職先となっております。 |
③患者さんのサポート通じて、大きなやりがいや達成感を得られる! |
患者さんの自立した日常生活や社会復帰に向けて、作業療法士は日々のリハビリを行っています。同時に、精神的な面でのケアも兼ねているので、対象となる方と密着したサポートを行うことができ、患者さんが笑顔を取り戻したり、再び社会に繋がる意欲を取り戻したりするのを、目の前で実感することができます。そういった時のやりがいや達成感は、他の仕事ではなかなか得られないものでしょう。 |
ここでは、作業療法士国家試験について、受験資格や試験内容、合格者数・合格率等々を詳しく解説していきます。
作業療法士の受験資格 |
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①学校教育法(昭和22年法律第26号)第90条第1項の規定により大学に入学することができる者(法第12条第1号の規定により文部科学大臣の指定した学校が大学である場合において、当該大学が学校教育法第90条第2項の規定により当該大学に入学させた者又は法附則第6項の規定により学校教育法第90条第1項の規定により大学に入学することができる者とみなされる者を含む。)であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した作業療法士養成施設において、3年以上作業療法士として必要な知識及び技能を修得したもの(平成31年3月15日(金曜日)までに修業し、又は卒業する見込みの者を含む。) |
②外国の作業療法に関する学校若しくは養成施設を卒業し、又は外国で作業療法士の免許に相当する免許を得た者であって、厚生労働大臣が(1)に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの |
③法施行の際(昭和40年8月28日)現に文部大臣又は厚生大臣が指定した学校又は施設において、作業療法士となるのに必要な知識及び技能を修業中であって、法施行後に当該学校又は施設を卒業した者 |
引用:厚生労働省「作業療法士国家試験の施行」より
作業療法士の国家試験を受験資格を得るには、大学の作業療法士養成課程で4年間修学する、または短大・専門学校といった、文部科学大臣または都道府県知事指定の養成校で3年以上、必要な知識と技能を修得するといったものがあります。
作業療法士の試験内容は? | |
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①筆記試験 |
一般問題 解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法 実地問題 運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法 |
②口述試験及び実技試験 | 重度視力障害者に対して、筆記試験の実地問題に代えて次の科目について行う。運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法 |
引用:厚生労働省「作業療法士国家試験の施行」より
厚生労働省によると、第53回(平成30年度)作業療法士国家試験の出願者数・受験者数・合格者数並びに合格率は以下のようになっております。
出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
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作業療法士 | 6,329人 | 6,164人 | 4,700人 | 76.2% |
(うち新卒者) | 5,418人 | 5,289人 | 4,435人 | 83.9% |
参考:厚生労働省「第53回理学療法士国家試験及び第53回作業療法士国家試験の合格発表について」より
上述したように、作業療法士の受験資格を得るためには、文部科学大臣が指定した学校、もしくは都道府県知事が指定した作業療法士養成施設などで3年以上の修学が必要となります。選択肢としては、4年制の大学・専門学校、3年制の短大・専門学校になりますが、どれを選ぶにしても、正解というものはありません。大学であれば一般教養も授業に含まれますし、専門学校はより実践的な授業に特化しておりますが、基本的なカリキュラム内容は同じです。
あなた自身が「どのような作業療法士になりたいか」をしっかりイメージした上で、学ぶべき場所を選ぶように心掛けましょう。
なお、作業療法士養成校(2019年度)の一覧は下記をご参照下さい。
http://www.jaot.or.jp/youseikou2019